その3では「遺留分」というものについてお話ししました。
ここまでは、お金がほとんどかからない、自筆証書遺言についてのお話しでしたが、
今回からは、十五歳の皆さんからすると手が届かないかもしれない遺言、
万単位のお金がかかる、ゴージャス・セレブ遺言の「公正証書遺言」のお話しをします。
お坊ちゃま、お嬢様はお勉強しておきましょう。
公正証書遺言
なんか、堅そうな名前で大人の世界っぽいですね。
これははっきり言ってお金がかかります。
でも、用心深い大人の人たちは少しくらいお金がかかっても、一番確実で安心なこれを選ぶ人が多いんです。
何が確実で安心なんでしょう
公正証書遺言は、公証役場という所で作ってもらいます。
「作る」んじゃなくて、「作ってもらう」んです。
作る人は公証人という、法律の超専門家です。
前に弁護士とか、裁判官とか、検察官とかを長い間やっていた人で、すごい人なんです。
確実で安心その1
だから、遺言の内容が法律的に変なものだったりして、無効にならないように教えてくれます。
でも、十五歳の皆さんから見ると、お爺さんばっかりです。
長く法律関係の仕事をしていた人でないとなれないので、若手バリバリのイケメン公証人というのは存在しません。
女子はあまり期待しないでください。
その一流法律家の公証人に、あなたが書きたいことを言って伝えます。
それを公証人が筆記します。
その時に、内容や表現が法律的に変だったら、教えてくれるでしょう。
筆記が終わったら、間違いがないか、あなたと証人に読んで聞かせ確認します。
・・・「証人」・・・
証人ってどんな人がなれるんでしょう。
遺言の内容によって、得したり損したりしない人です。
親戚関係だとなかなかねえ、という人は
ぼくみたいな行政書士とか、弁護士さんとかにお願いすることが多いですね。
なんでか?
行政書士とか弁護士には
「守秘義務」
というのがあるんですね。
仕事上で知った秘密は漏らしちゃいけない、ということです。
守らなきゃ、業界追放!なんてこともあり得ます。
と、言うことで、間違いがなければ、
あなたと証人全員が署名しハンコを押します。
遺言が完成したらこの原本は公証役場に保管されます。
安心で確実その2
したがって、遺言書の置き場を知っている誰かがコソッと中身を書き換えるという事は、不可能になります。
そして、この原本とは別に、平成26年4月1日から電磁記録化(データ化)したものも保存されることになりました。
安心で確実その3
そのために、あなたの遺言が紛失したり、滅失したりする危険がなくなりました。
この遺言を作成したのち、あなたが天国に召された、または地獄に突き落とされたとしましょう。
そのとき、以前にお話しした「自筆証書遺言」ならば、遺言書を裁判所に持っていき、「検認」と言って、法律的に有効な遺言書かどうかを判断してもらわないといけません。
安心で確実その4
公正証書遺言なら、作成するときに法律家のチェックを受けているので、そのまま有効になります。
こんな具合に公正証書遺言は、
お陀仏の後は、安心・確実・スピーディーなんですね。
ただし、十五歳のあなたにはいくつかのハードルがあることに気が付いたでしょう。
お金が必要。
実印が必要。
証人が必要。
・・・結構大変です。
取りあえずは、自筆証書遺言を書いておきましょうか。
次回は、
「秘密証書遺言」
から、お話ししようと思います。