十五歳だ。さあ、遺言を書こう。その2 相続人ってだれ?





十五歳になった皆さん、

今日も元気に遺言を書きましょう。

前回はお金もかからずに、お手軽な自筆証書遺言、つまり、自分で書いて自分で保管しておく遺言の書き方をざっくりと説明しましたよね。

今回は、その自筆証書遺言を書くときの注意をお話しします。

それから、遺言は法律的には、どの程度強いのか、

その辺をお話ししようと思います。

以前のお話しと重複する部分もありますが、復習するつもりで読んでください。

 

自筆証書遺言(自分で書いて、自分で保管する遺言)で、気を付けること。

1 ぜ~んぶ自分で書きましょう

一文字も、他の人に書いてもらってはいけません。

すべて自分の文字でないと無効になってしまいます。

つまり、パソコンを使って入力し、プリントアウトしたものも、絶対だめです。

字が下手で人に見られるのが嫌でも、これだけは自分で書きましょう。

また、動画や音声は、遺言としては使えません。

しつこく言いますが、必ずあなたの字で書きましょう。

2 日付は必ず年月日で書きましょう。

お年寄りがついつい書きたがるのが、「吉日」。

これはダメです。何日なのかわかりません。

人によって「吉」の日は、違いますからね。

「キティちゃんの誕生日」なんてのもダメですよ。

平成か西暦かも、はっきり書きましょう。

3 訂正はやり方が決まっています。

あっ、間違えた!

グシャグシャっと黒く塗りつぶして・・・・だめです。

修正テープで上から書いて・・・・だめです。

昔ながらの砂消しゴムでけずって・・・・だめです。

 

まず、間違えた部分を二本線で消して、その上の行間に正しいのを書きます。

その二本線にかかるようにハンコを押します。

その行の終わりの空欄に「○字削除、○字加入」と書きます。

2ケタの数字は2文字として数えます。

そこに、名前をかいて、ハンコを押します。

間違えるたびにこれをやります。

 

4 法律で守ってくれるのはこれ

前回、遺言は大きく2つに分けて、前半は財産をどうするか、事務的なこと

後半は、残った人たちに言い残しておきたい、どちらかというと感情的なこと

を書くといいと、言いましたよね。

ただし、後半で感情的になりすぎて、前半に書いたことと矛盾することを書いて、意味不明にならないように、気を付けましょう。

そういう遺言は、最低でも矛盾する場所は無効、無かったことにされてしまいます。

最悪、全部だめ、紙くずになってしまいます。

 

法律で守ってくれるのは、前半の事務的なことです。

簡単に言うと、どの財産を誰にあげるか決める、ということです。

5 法律は、あなたの遺言も守っているけど、あなたの家族も守っています。

もし、遺言を書かなかったら、法律で決められた人に決められた割合で、あなたの莫大な財産は分けられることになっています。



その、法律で決められた人のことを、「法定相続人」と言います。

これは、順番があって、第一順位の人が居なかったら第二順位、それも居なかったら第三順位、ということになります。

つまり、第一順位の人が居れば、第二、第三順位の人は関係なし、ということです。

まず、一番重要なのが配偶者、つまり、奥さんとか、旦那さん。

これを読んでいる人は一応十五歳ということになっているのですが、

何かの間違いで二十歳とか四十歳とか、そういう人が読んでいた時のために、奥さんとか、子供とかも計算に入れておきましょう。

それでは、順番に行きましょう。

第一順位

奥さんと子供

奥さんが2分の1、子供が2分の1の割合で分けます。

子供が2人とか3人とか、6人とか、うじゃうじゃいた場合とか、

何人いても子供の分、つまり2分の1を人数で均等に分けます。

奥さんは、子供が何人いても2分の1です。

もし、子供が死んでしまっていたら、孫が代わりに受け取ります。

孫も死んでいたら、ひ孫が受け取ります。

ひ孫も死んでいたら、玄孫(やしゃご、つまり、ひ・ひ孫)が受け取ります。

玄孫も死んでいたら・・・・・・・・と、永遠に子孫に受け継がれます。

その時この世に生きていればですけど。

ちなみに、おなかの中の子供は人数に入れるの?

と、思うかもしれませんね。

このおなかの中の子は、人数に入れておいてください。

めでたく生きて産まれてきたら、仲間に入れてあげてください。

流産など、残念な結果に終わってしまったら、相続に関する法律では最初からいなかったことになります。

法律は冷たいところがありますよね。

奥さんがもういなくて、(死んだとか、離婚したとか)子供だけのときは、子供が全部受け取ります。

もはや、十五のあなたの話ではなくなってきましたけど、ご参考まで。

第二順位

奥さんと親(つまり、子供がいない)

奥さんが3分の2、親が3分の1を、受け取ります。

十五歳のあなたの感覚では、えっ親すくなっ、て思うかもしれませんが、法律考えた人は、親はお金があって、奥さんはあなたが養っているというのを想像しているんでしょうね。

奥さんがいない場合は、親が全部受け取ります。

今度は子や孫のときと一緒で親が居ないときはお爺ちゃんお婆ちゃん、

それもいないときは、ひいお爺ちゃん、ひいお婆ちゃん、

それもいないときは、ひいひいお爺ちゃん、ひいひいお婆ちゃん

それもいないときは・・・・・どんだけ長生きなんだって。

とにかくご先祖様をどんどんたどっていきます。

第三順位

奥さんと兄弟姉妹。

奥さんが4分の3、兄弟姉妹が4分の1です。

兄弟姉妹がたくさんいれば、4分の1を人数で割ります。

兄弟姉妹はあなたと同格、同じ戦闘力を持っているのだから、遺産をあげなくても自分で強く生きていけるでしょう、という考え方でしょうか。

兄弟姉妹にあなたの思い出をちょっとだけ分け与えましょう、という感じですか。

あ、この考え方は、完全にぼくの妄想ですから、あなたが勝手に別の解釈をしてもかまいませんよ。

もしも、兄弟姉妹があえなく死んでしまっていたら、その子供、つまり甥や姪が代わりに受け取ります。

もし、甥や姪が死んでしまっていたら、その子供・・・にはなりません。

この場合は、ここでストップです。

子孫を手繰って行ったりしません。

 

ここまでが法定相続人というものです。

あなたが何もしないで昇天した場合(地獄に落ちる人も含みます)、

原則的にあなたの財産はこのように分けなければいけないことになっています。

ただし、原則的に、ということで、原則には例外もありますから、それはいつかお話しします。

 

完全に中途半端ですが、まだまだ先がありますので、今回はこのくらいにして、続きは「十五歳だ、さあ、遺言を書こう。その3」に取っときましょう。



投稿者:

souseisyosi

山口県防府市出身 東京農業大学卒業 いろいろな職業を経験後、行政書士に。 順風満帆な人生を送ってきた方よりはちょっと面白い人間に仕上がってきたかも。 とにかく人生楽しい。

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