十五歳になった皆さんおめでとうございます。
おめでとうと言われることは良いことですね。
でも、おめでたいやつと言われるのはあまり嬉しくないというのは、
日本語の微妙さを感じますね。
さて、その2の続きをお話ししましょう。
これまでは、遺言の種類、
その中の、自分でお手軽に書ける自筆証書遺言の書き方、
自筆証書遺言を書くときの注意、
などをお話ししてきました。
その中で、あなたの思いを法律は守ってくれます、
でも、残った人たちのことも、法律は守っています、
ということで、法定相続人のことをお話ししている途中でしたね。
もしもあなたが遺言を書かなかったときは、こんな感じになりますよってこと。
では、今回は、その次
遺留分
それでは、あなたが遺言を書きさえすれば、あなたの財産はあなたのわがまま放題にできるんでしょうか。
「ぼくが死んだら、好きで好きでしょうがない花山花子ちゃんに、全財産をあげます。お母さんには何にもあげません。」
こんな遺言を書いたとします。
誰も文句を言わなければ、その通りになります。
ところが、お母さんが
「息子の財産は渡さないわよ。」
と、主張した場合、法律はお母さんの言い分も聞くことになっています。
ただ、全部じゃないです。
あなたの遺言の主張も聞くことになっていますから、
その真ん中をとって丸く収めることになっています。
この場合のお母さんの取り分を、
「遺留分」
と言います。
「その2」で、法定相続人のお話しをしましたよね。
遺留分は、その法定相続人の第二順位の人まで権利があります。
また、30歳とか50歳とかの人が、間違えてこれを読んでいることも考えて、家族の範囲を広げて考えます。
あなたも、そういうおじさん、おばさんになった時を想像してください。
まず、必ず権利がある、あなたの奥さんか旦那さん。
第一順位のあなたの子供。死んじゃったら、その子、つまり孫。それも死んじゃったらひ孫・・・・
こういうのを直系卑属(ちょっけいひぞく)と言います。
第二順位のあなたの両親。死んじゃったら、その親、つまり爺ちゃん婆ちゃん。それも死んじゃったらひい爺ちゃんひい婆ちゃん・・・・
こういうのを直系尊属(ちょっけいそんぞく)と言います。
ご先祖様を尊属、尊は尊い、属は分類という意味ですね。
敬うべき人たちということで、まあ納得します。
でも、子や孫が卑属は無いんじゃないの、いやしい人たちという意味ですよね。
なんか、納得できないけど、法律用語なんで、
法律家のえら~い先生が気が付いてくれないと変わらないんでしょうね。
「子供のどこがいやしいんじゃ~!!」ってね。
そして、ここでは第三順位のあなたの兄弟姉妹は、仲間はずれです。
さっき、真ん中をとって、丸く収めるって言いましたよね。
そう、遺言に何と書いてあっても丸く収めるんです。
ただし、権利のある相続人から文句が出たときだけです。
この文句を言って、取り分を請求する権利を
「遺留分減殺請求権」
と言います。
いりゅうぶんげんさいせいきゅうけん
と読みます。げんさつじゃないので気を付けましょう。
減殺って、減らして殺して・・・・なんかヤバそうな言葉だけど、
私の取り分ちょうだいねっていうことなので、だれも殺さないので安心してください。
で、遺留分というものはどのくらいもらえるのか、
第二順位までのパターンとしては次のようになりますね。
① 配偶者だけのとき→財産の2分の1
② 配偶者と子供など(直系卑属)のとき→財産の2分の1を親子で分ける
つまり、配偶者が4分の1、子供が4分の1を人数割り。
③ 子供など(直系卑属)だけのとき→財産の2分の1を人数割り
④ 配偶者と直系尊属のとき→財産の2分の1を配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1に分 ける。
⑤ 直系尊属だけのとき→財産の3分の1
簡単に言うと、親とか爺さん婆さんしかいないときは
最初から財産が3分の1しかなかったとして計算、
それ以外は最初から2分の1しかなかったとして計算、
それぞれ、法定相続分に基づいて計算すれば良いんですね。
もし、あなたが、そんなの嫌だ、絶対遺言書通りにしないと嫌だ、
というのでしたら、遺言書の後半に、どれだけ感動させ、納得させる文章を書けるかにかかってきます。
文章の勉強、頑張りましょう。
遺留分は、請求されなければ発生しませんからね。
検討を祈ります。
次回、「その4」では、自筆証書遺言以外の遺言について語ってみます。
では、お元気で。