やばい状況にならないほうが良いけれど、人生、いつなんどきロックな状態になるかわかりませんよね。
そんなとき、今までお話ししたような教科書通りの遺言が書けるとは限りません。
そんな時のために、ルールをちょいとばかりゆるくした遺言の方式があるんです。
個人的な意見として、この時これができるのかい、というのがありますが、あくまでも法律は慎重です。
特別方式遺言の種類
死に際がロックンロールな状態になってしまった。
そんな時でも作成できる(かもしれない)、特別方式遺言というのがあります。
特別方式には、危急時遺言と隔絶地遺言というのがあります。
まずは危急時遺言、その中で、一般危急時遺言からお話しします。
危急時遺言
危急時遺言には、一般危急時遺言と船舶遭難者遺言というのがあります。
一般危急時遺言
ごく普通の状態で、あなたが死にそうだと思ったとき遺す遺言です。
家や病院の布団やベッドで死にそうなときですね。
もっとも、「死にそう」と言っても、いろいろですね。
とくに十五歳の皆さんは死にそうだと思うことはよくあるでしょう。
おなかがすいて死にそう。
恥ずかしくて死にそう。
でも、これじゃダメです。
法律では、
「遺言者が主観的に自己に死亡の危急が迫っていると判断すれば足りる。」
という事になっていますが、単なる予想程度では認められません。
お医者さんが、そろそろヤバいかもって言ったとか何か客観的にもやばいって解る状態じゃないとダメのようです。
そういうことなので、あなたが、自信を持ってもうすぐ死ぬ、と思うようならばこの一般危急時遺言を作成しましょう。
一般危急時遺言の作り方
① まず、証人を3人以上集めましょう。
死にかけているあなたがその時になって3人かき集めるのはかなり大変です。
たぶん無理でしょう。
そんな時のために、あなたが死にそうになったと聞いたら、せめて3人以上集まってくれるくらいの人気者になっておきましょう。
証人になる資格に関してはいつか詳しくお話しします。
取りあえず、成人であること、あなたの相続人などの、あなたの遺言で損したり得したりする人ではないことです。
そんな条件があるので、学校のお友達とばかり付き合ってないで、いろいろな年齢層の人とも仲良くなっておきましょう。
② 遺言者であるあなたが、証人の一人に対し、遺言を語って伝えます。
あなたは死にそうなのですから、手短にわかりやすく伝えましょう。
この日のために、自分の考えを短くまとめて、わかりやすく人に伝える練習をしておきましょう。
この練習は社会に出てもきっと役に立ちます。
「君の話は分かりやすくていいね。」
と、ほめられたら、
「はい、危急時遺言のために、いつも練習しております。」
③ 遺言を聞き取った人がこれを筆記します。
一字一句同じじゃなくても良いんです。
内容が合ってれば良いんです。
パソコンで打っても良いんです。
だから、聞き取り役は、気楽に引き受けてもらいましょう。
譲り合ってるうちにあなたが死んでしまったら何にもなりません。
もし、書き上がったものを訂正したいときは、証人が全員で寄ってたかって署名、押印を、してもらいます。
④ 書きあがった遺言書を、証人全員に読み聞かせ、または閲覧させます。
キチンと書けていたら、証人全員が署名押印をします。
あなたは死にかかっているので署名押印はしなくて結構です。
⑤ 遺言の日から二十日以内に、証人か、利害関係人が家庭裁判所に持っていき、確認してもらいます。
確認が終わったら、この遺言の完成!!です。
なお、あなたが危急状態から脱して、つまり、やっぱ大丈夫だったから普通方式の遺言ができるようになった時は、6か月経つと、ここで作成した一般危急時遺言は、効力がなくなります。
今回はこのくらいにしておきましょう。
このつぎは、危急時遺言の中の船舶遭難者遺言のお話しをします。
お元気で。