秘密証書遺言
秘密証書遺言、わあ、「秘密」だって!
なんか、めくるめく怪しい雰囲気がただよってますね。
十五歳と言えば、親に秘密にしておきたいことがたっぷり有る頃ですね。
秘密証書遺言なら、中身をだれにも秘密にできる
何を書いても誰にもばれません。
以前出てきた公正証書遺言では、公証人と証人2人の、最低3人の人に、何を書いたかばれてしまいます。
これならば、誰にも見られないで封をしてしまうことができます。
恥ずかしかったり、気まずかったりする心配はありません。
秘密証書遺言なら、パソコンで書ける
字い汚いし、漢字知らんし、あとで誰かに見られるんだからきれいに書きたいな。
大丈夫。
これならパソコンで書いても有効です。
何なら字がめちゃくちゃきれいなお友達に頼んで書いてもらっても大丈夫です。
その時には、その人の住所と氏名を記録しておいてください。
あとで、公証人に「筆者」として報告しなければいけません。
もし、パソコンを他の人に打ってもらったときも、その人が「筆者」になります。
ただ、その人に対しては秘密でなくなりますけどね。
秘密証書遺言なら、存在をなかったことにされない
自筆証書は、書いた後、人知れずまたはみんなに宣言して、密かにまたは堂々と保管しておきます。
これを、都合の悪い人が、無かったことにすることは可能なことです。
でも、秘密証書遺言の場合は、公証役場に記録がしっかりと残るので、遺言の存在があったことだけは、いつまでも証明できます。
相続人が公証役場に行って、「あいつの遺言ありますか?」って聞けば「ありますよ。」と、答えてくれます。
秘密証書遺言でも、書き方が悪いと無効になる
秘密証書遺言は誰にも見せずに、封をしてしまうから、どうやって書いてもオッケー
・・・・・ではないんです。
書き方は自筆証書遺言と同じと思ってください。
ただ、パソコンなどの道具を使って書いても良いし、人に代筆してもらっても良いというだけです。
形式は守らなければ無効になります。
訂正の仕方や、署名と捺印ですね。
自筆証書遺言よりややこしいのは、ハンコは実印が必要だという事です。
秘密証書遺言でも、お金がかかる
さて、問題のお金です。
公証役場に払うのが今、2016年10月で、1万1千円。
証人を2人連れて行かないといけないので、この人たちの報酬。
秘密証書遺言でも、無くなるときは無くなる
公証役場のおじさんがやってくれるのは、あなたが確かに遺言を書いて、私たちが確認しましたよ、という記録を残すだけ。
保管をするのは、あなたです。
無くなったり、盗まれたり、焼けてしまったり、というのはあなたの責任です。
秘密証書遺言でも、裁判所のお世話になる
あなたが天国に昇るか地獄に落ちた後、残った人があなたの遺言を裁判所に持っていきます。
裁判所で、勝手に封を開けられていないか、署名、捺印なんかはきちんとされているかなどのチェックをして、ちゃんと有効な遺言かどうかを見てもらいます。
だから、手間は自筆証書遺言と変わりません。
結局、秘密証書遺言の良いところと良くないところを比べてみた結果、あまり人気はありません。
ぼくは遺言について、よく相談を受けますが、秘密証書遺言にしたいという人にはまだ会ったことがありません。
このつぎは、ドラマや映画ではよく出てくる「危急時遺言」や、「隔絶地遺言」について、お話ししようと思います。