お年寄りの試練・たとえばマイナンバーカード手続き





お年寄り

物忘れが激しくなり、気力体力ともになくなってきた人たち。

例えば、若い人の感覚では簡単な、

マイナンバーカードを手にするまで。

これがお年寄りにとっていかに困難な試練か、みてみましょう。

ここで「若い人」とぼくが示しているのは

ここに登場する「お年寄り」未満の人を指します。

80歳で会社社長をエネルギッシュにこなしながら、

スポーツクラブに通っている人は「若い人」に含まれます。

お年寄りの行動、思考パターンの基本

基本というとなんだか学術書みたいな感じになるので

「あるある」

くらいに思ってください。

あなたが、1週間休みなしで1日14時間働いて、

やっとのことで一人暮らしのアパートにたどり着いたと思ってください。

この、あなたの瞬間が

お年寄りの日常の気力・体力です。

玄関をはいって、靴を脱ぐ気力もなく、

カバンを放り出してその場で大の字になる

その時がお年寄りの普段の気力・体力です。

これが1日24時間、1年365日、

ず~~~っと続いてるんですよ、お年寄りの中では。

記憶力も再現するとすれば

そのまま冷蔵庫まで這っていき、

酎ハイストロング500mlを5本ほどいただきましょうか。

お強い人なら、いいちこ一本あけましょうか。

きのうの出来事、聞いたこと

そんなことはなかったねえ、聞いてないねえ

頭の中は、そんな感じです。

マイナンバーの存在を知る

国の施策としてマイナンバーのシステムを導入することにします。

広く国民に知ってもらうため、

国はテレビや新聞、その他の方法でこの制度のことを広報します。

この広報がお年寄りにどう伝わるでしょう。

 試練その1

ここで、お年寄りの、情報との接触を見てみます。

基本、お年寄りは同じ状態をずっと続けることを好みます。

そして、世の中はいろいろ動いていても、

自分とはあまり関係ないと思っています。

思いたがっています。

若い人の言う

「関心がない」

とは、性質が少し違います。

新しい情報を取り込むのがものすごく億劫なんです。

気力、体力を使うんです。

関係があって、自分が何かしなければいけないことは、いやなんです。

ヘロヘロになって帰って、もう1歩も歩けない

サラリーマン・OLと同じ体力・気力なんですから。

これを

「新しい情報はいやなんです」

の法則と名付けましょう。

だから新しい情報はないんです。

お年寄りにとっては。



 

試練その2

つけっぱなしのテレビでニュースが流れています。

1週間くらい前に起こった凶悪事件です。

ニュース解説番組などで、

一日に何度もくりかえしくりかえし、

政治家や解説者、芸人やアイドルまでが語りつくします。

今、トイレから出てきたお年寄りは

「ハアッ!3人も殺されたんか?」

このお年寄りにとって、これは初めて聞く新鮮なニュースなんです。

トイレに入る前にも聞いていた続きだなんて、関係ありません。

短期記憶はありません

5年前に、近所のボケたお婆さんと話したことは

よ~く覚えてるんですが・・・・・

国が政府広報を流し続けても、お年寄りにとって、

「今日初めて聞いたこと」

なんです。

「なんか聞いたことがあるな」

まで持っていければ、かなりお手柄です。

マイナンバーカードを受け取りに行く

手続きのかなりの部分は、

子供や親戚などが手伝って何とかなります。

でも、受け取りだけは、特別な事情が無い限り

本人が市役所に行かなければなりません。

これもあなたに例えてみると、どういう状況でしょうか。

まず、もう一歩も歩きたくないほどへろへろに疲れているあなた

そして、行く場所は、前回はいつ行ったか覚えていない市役所。

これはお年寄りの難易度的には、

超巨大ショッピングセンターの大きさの

ドンキホーテに行くようなものです。

生きて帰れるか、不安になります。

そんなところへ命がけで行って

やっとたどり着いたらカードの説明を受けます。

もう、気力も尽きようとしているときに、

量子力学の講義を受けるようなものです。

そして、すべてを悟りきっているお年寄りは言います。

・・・・体の調子が良くなったら行くよ・・・・

行きません。

まとめ

お年寄りにとって

マイナンバー制度という、今までなかったものの存在を認識するためには、

子供や親戚などの手助けが必要でしょう。

市役所へ行く、と言う慣れない行動にふみきるには

心身ともにものすごく充実したときでなければ

不可能でしょう。

行政側では、絶えず何とかしようと努力をしていると思います。

あとは周囲の人たちが、お年寄りの体と心を読み取って

理解しながらゆっくりと付き合っていきましょう。

30年後、60年後、自分という回答用紙で

その読みと理解の答え合わせをするのも面白いでしょう。



投稿者:

souseisyosi

山口県防府市出身 東京農業大学卒業 いろいろな職業を経験後、行政書士に。 順風満帆な人生を送ってきた方よりはちょっと面白い人間に仕上がってきたかも。 とにかく人生楽しい。

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